2018年9月25日火曜日

南北首脳会談と朝鮮半島のナショナリズム


一つの民族、同胞(はらから)…。平壌での今回の南北首脳会談で、現地から送られてくる映像、韓国での報道ぶりをみていて改めて思ったのは、朝鮮半島に住む人たちの自らの民族への思い、民族意識の強さというものだった。

2つのシーンがとくに強く印象に残った。一つは、文在寅大統領が平壌のマスゲーム会場で大観衆を前に演説した場面、もう一つは、文大統領が金正恩委員長とともに中朝国境の白頭山に登ったシーンである。
 

15万人の拍手と歓呼
文大統領のマスゲーム参観は訪朝2日目、首脳会談で「共同宣言文」をまとめた後の919日夜だった。15万人収容の「51競技場」で北朝鮮自慢の集団体操を見た後、会場を埋め尽くした市民歓呼のなか、大統領は第一声、まず次のよう呼びかけた。
マスゲーム会場で歓呼に応える文在寅大統領=写真はいずれも青瓦台HP
「平壌市民のみなさん、北の同胞、兄弟のみなさん。平壌でみなさんとこのように会うことができ、本当にうれしく思います」
https://www.youtube.com/watch?v=ABQb9WkaB-I

やや上ずった声。歓呼と拍手が一段と高まるなか、大統領は一語一語を噛みしめるように、次のように続けていった。
 
「金正恩委員長と私は、韓(朝鮮)半島でもう戦争はなく、新しい平和の時代が始まったことを8千万同胞と全世界に厳粛に宣言しました」
「わが民族の運命は私たち自身が決めるという民族自主の原則を確認しました」
「南北関係を全面的、画期的に発展させて断絶した民族の血脈をつなぎ、共同の繁栄と自主統一の未来を引き寄せようと固く約束し合いました」
 
「金正恩委員長と私はきょう、韓半島で戦争の恐怖と武力衝突の危険を完全になくすための具体的な措置に合意しました」
「白頭山から漢拏山まで、美しいわが山河を永遠に核兵器と核の脅威のない平和の地として子孫に引き継いでいくことを確約し合いました」
 
■「70年間の敵対を清算しよう」
観衆総立ちの拍手と歓声。会場の興奮は、次のような訴えで極まっていった。
 
「平壌市民のみなさん。わが民族は優秀です。強靭です。わが民族は平和を愛します。そして、わが民族は、いっしょに暮さなければなりません」
「私たちは5千年間いっしょに暮らしながら、この70年間別れて暮らしてきました。私はきょう、この席で過去70年間の敵対関係を完全に清算し、再び一つとなるための、平和への大きな一歩を踏み出すことを提案します」
「金正恩委員長と私は、北と南8千万同胞と固く手を握り、新しい祖国をつくっていきます。いっしょに新しい歩みを始めましょう」
 
7分余の演説だったが、韓国の大統領がこのような形で北朝鮮の市民に直接語りかけるのはもちろん初めて。映像は、観衆の表情も映し出した。どの顔も南から来たこの大統領の一挙手一投足に目を凝らし、その一言半句も聞き漏らすまいと必死の様子がそのまま伝わってくる。
 
■「霊峰」の天池バックに記念撮影
白頭山登山は大統領訪朝最終日の翌20日。早朝、平壌の順安空港を発ち、空路登山基地の三池淵空港へ移動。車とケーブルカーを乗り継ぎ、山頂に立った両首脳は、この山を象徴するカルデラ湖・天池をバックに記念撮影。2人で手をつなぎ、それを高く持ち上げてポーズを取り、カメラにおさまった。

白頭山の天池をバックに記念撮影
 
標高2,744メートル、朝鮮半島の最高峰。朝鮮民族発祥の地とされ、南と北が共にそれぞれの「愛国歌」(国歌)に次のように歌いこんでいる。

韓国  〽東海(日本海)が乾き果て 白頭山が磨り減るときまで…(1番の歌い出し)

北朝鮮  〽白頭山の気性を余さず抱き 勤労の精神は宿り…(2番の出だし)
 

北朝鮮が、金日成主席の抗日パルチザン闘争の舞台として「聖地」とすれば、韓国民も「民族の精気」が宿る「霊峰」とあがめ、あこがれる。

その山頂で両首脳夫妻が談笑し、大統領夫妻が天池に手を浸し、ペットボトルに水を汲む。韓国のメディアはこれを、興奮気味の口調で次のように速報した。

「文在寅大統領と金正恩委員長の両首脳はきょう、民族の霊峰白頭山にいっしょに登り、南と北が一つの同胞(はらから)、一つの民族だということをいま一度、確認し合いました」(YTNニュース)ttps://www.youtube.com/watch?v=mbZHmAW3PRY

■民族の思い込めた共同宣言
朝鮮半島が南北に分断されて70年余。この間、冷戦構造に封じ込められ、時の経過とともに民族統一への思いは冷めてきたともいわれる。実際、韓国の各種世論調査では若い世代を中心にそうした傾向がみられたのも事実である。

 
しかし、今回の首脳会談を見ていて感じたのは、実際に統一が可能かどうかということとは別に、それが「民族の正義」として南北をまたぎ広く共有されているのは間違いないということだ。
 
今回両首脳が合意した「9月平壌共同宣言」にはそうした民族の思いがにじみ出ている。前文のなかには次のような一文がある。
 
<両首脳は、民族自主と民族自決の原則を再確認し、南北関係を民族の和解と協力、確固たる平和と共同繁栄のために一貫して持続的に発展させていくことにし、現在の南北関係の発展を統一へとつなげていくことを願う全同胞の志向と念願を政策的に実現するために努力していくことにした>

この共同宣言とは別に、その「付属合意書」として「板門店宣言軍事分野履行合意書」も採択した。そこでは武力衝突の防止へ軍事演習を厳しく規制し合ったほか、境界海域一帯に「平和水域」と「モデル共同漁業区域」を設けるといった内容も盛り込んでいる。
 

韓国大統領府はこれを「実質的な終戦宣言」としており、この南北間の約束に米国も巻き込んでいこうとしているのは間違いない。
 
■「自国の運命は自らで…」
朝鮮半島問題の解決は当事者である自らの手で―。文在寅大統領はこの間、こんなメッセージを繰り返し発してきた。大統領就任3カ月後の昨年815日の光復節演説では次のように訴えた。
 
「(南北)分断は、私たちが自ら自国の運命を決めるだけの力がなかった植民地時代の不幸な遺産です。冷戦の中にあってそれを清算できなかった。しかし今、私たちは自ら自国の運命を決めることができるほどに国力が大きくなった。朝鮮半島の平和も分断の克服も、私たちの力で成し遂げていかなければなりません」
 
同年111日、国会での施政演説でも次のように説いた。

「わが民族の運命は私たち自らが決めていかなければなりません。植民地支配や南北分断のように私たちの意思と無関係なところで私たちの運命が決められた不幸な歴史を繰り返してはならない」
 
文大統領のこうした発言や、今回の共同宣言に見られる「民族」「同胞」への言及は文字通り、そのまま朝鮮半島のナショナリズムの発現と言い換えていい。
 
それは「南北関係の発展と統一」(共同宣言)へと未来方向に向かっているだけではなく、過去へもさかのぼる。その場合、日本の植民地支配に突き当たるのは必然だ。実際、今回の共同宣言には次のような一文も盛り込まれた。
 
<南と北は、…(来年の)31運動100周年を南北が共同で記念することにし、そのための実務的な方案を協議していくことにした>
 
■信頼醸成は過去直視から
日本で北朝鮮の問題といえば、核・ミサイル問題や日本人拉致の問題として語られることが多かった。重要な問題であることは間違いないが、しかしそれらは、それ単独の問題として存在しているわけではない。それぞれに過去の歴史、経緯を引きずり、複雑に絡み合っている。
 
大前提となってきたのは朝鮮半島の南北分断と対立だった。古い冷戦構造を引きずったその基本構図がいま、崩れ始めたのである。トランプ米大統領と金正恩委員長が史上初の首脳会談(612日、シンガポール)をおこない、その共同声明で「相互の信頼醸成」をうたい上げた。そして今また、2度目の首脳会談に向けて動き出している。
 
日本も対応が迫られる。安倍首相は遅ればせながら北朝鮮との「信頼醸成」に言及し始めているが、言葉だけでは前に進まない。
 
根本は「過去清算」の問題だ。振り返って考えると、日朝間の最大の課題はそこにあったはずである。いまは、その原点に立ち返ってまず、植民地支配の過去を直視し、そのうえで、北東アジアに大きな平和の絵柄を描いていくことが日本には求められる。

 「拉致」も「核・ミサイル」も、そうしたなかから解法を見つけ出していく以外にない。
                                (波佐場 清)                                                                             
 

2018年8月3日金曜日

「冷戦解体、後戻りはない」/丁世鉉・元統一相が大阪で講演

南北首脳会談、そして史上初の米朝首脳会談。朝鮮半島でいま起きているのは、過去70年にわたってこの地域を凍てつかせてきた冷戦構造を解体しようという動きであり、この歴史の流れにはもう誰も逆らえない――金大中、盧武鉉両政権で統一相として対北「太陽政策」を推進した丁世鉉氏(73)が81日、大阪での講演会でこう指摘し、北東アジア地域で新たに始まった国際秩序の再編に備えるよう訴えた。
 

丁世鉉氏はいまの文在寅政権の対北政策を、1970年代以来韓国内で積み重ねられてきた朝鮮半島の冷戦構造解体への努力の延長線上に位置づけ、一方で、北朝鮮の金正恩委員長についても、その経済発展戦略のうえから、もう後戻りはできないと言い切った。 

講演会は、駐大阪韓国総領事館(呉泰奎総領事)が主催し、北区の民団大阪本部で開かれた。以下は、講演の要約である。 (波佐場 清) 

■もう、戦争はない
ことし427日、板門店の南北首脳会談で文在寅大統領と金正恩委員長が合意して発表した「板門店宣言」は冒頭、次のように始まっていた。


「両首脳は朝鮮半島にもう戦争はないであろうということ、新しい平和の時代が始まったということを8千万同胞と全世界に厳粛に宣言した」

去年1年を振り返ると、4月危機説、8月危機説、10月危機説といったものが流布されるなか、戦争の恐怖に戦々恐々としていたわが国民は、その日、「もう戦争はない」との言葉に涙を流した。海外の同胞にあっても同じ気持ちだったと思う。

■文在寅大統領の「ベルリン構想」振り返ると、去年76日、ドイツのベルリンを訪問した文在寅大統領はケルバー財団主催の演説で「朝鮮半島の冷戦構造解体と恒久的平和の定着」に向けた対北朝鮮政策に関し、その基調として次の5項目を提示していた。

  北の崩壊や吸収統一、人為的な統一を排除し、平和を追求する②北の体制の安全を保障しつつ、非核化を追求する③南北間の合意を法制化し、終戦宣言をおこない、関係国が参加する平和協定を締結する④南北の鉄道をつなぎ、韓国-北朝鮮-ロシアを結ぶ天然ガスパイプラインを敷設するなど「朝鮮半島の新経済地図」を実現していく⑤非政治的な交流協力は政治・軍事状況と切り離して推進する。 

そのうえで、文大統領はいったん易しいことから始めよう、と次の4つの事業を北に提案した。  104宣言」(*2007年、盧武鉉大統領と金正日総書記が交わした「南北関係発展と平和繁栄のための宣言」)10周年に合わせて離散家族の再会と墓参を実現しよう②北の平昌冬季五輪参加を望む③軍事境界線での敵対行為を止めよう④南北対話を再開しよう。
 
■南北首脳の約束へと昇華いま振り返ると、この「ベルリン構想」は今年初めから相当部分が実行に移され、残された部分は「板門店宣言」の随所に盛り込まれた。

「ベルリン構想」は「朝鮮半島の冷戦構造解体と恒久的な平和定着」を目指す文大統領の統一への意志の表現だったのだが、それから9カ月たったところで出された「板門店宣言」は、「ベルリン構想」を土台に南北が手を取り合ってその目標を達成していこうという南北両首脳の約束へと昇華されたのである。 

「ベルリン構想」は、「板門店宣言」として再生したのだ。 

■朝鮮半島の冷戦構造を解体朝鮮半島分断の歴史を振り返ると、その冷戦構造解体への努力はずっと前からあった。それはわれわれの悲願であってきたのである。
 
1971年の大統領選で、その年の418日、金大中候補はソウルの奨忠壇公園での演説で「4大国クロス承認」と「南北交流」を提起したが、これは冷戦の真っただ中でなされた朝鮮半島の冷戦構造解体論だった。野党候補の提案だったため、国家政策へと発展することはなかった。 

198877日、盧泰愚大統領が発表した「77宣言」も朝鮮半島の冷戦構造解体論だった。「韓国が、イデオロギーで敵対していたソ連、中国と国交を結ぶので、米国と日本も北朝鮮と国交を開いてほしい。その土台のうえに南北関係を安定的に発展させていきたい」というものだった。 

当時、米日両政府の無関心と協調のなさから、これは入れられず、朝米、朝日の国交はなされなかった。しかし一方で、韓ソ、韓中の国交は達成された。こうして90年代初め、朝鮮半島の冷戦構造は半分だけが解体された。 

1998831日、北朝鮮は日本列島をまたぎ、太平洋に向けて中距離ミサイル(テポドン1号)を発射した。当時、米国のクリントン政権は金大中大統領の太陽政策を支持していたのだが、これによって対北政策の修正を求める世論が高まると、クリントン大統領はウィリアム・ペリー元国防長官を対北政策調整官に任命した。 

6カ国が合意した「ペリー・プロセス」ペリー調整官は韓国政府と協調しつつ、北の核・ミサイル問題の解決策を準備するため日本、中国、ロシア、北朝鮮を巡回訪問し各国と協議した。99523日、ペリー氏が平壌を訪問した後に発表された「ペリー・プロセス」は、朝鮮半島をめぐって6カ国が同意した冷戦構造解体論だった。
 
ペリー・プロセスは、北の核・ミサイル問題について朝鮮半島に残る冷戦構造の産物であると見て、まず朝米の敵対関係から解消していこう、というのが骨子になっていた。 

朝米、朝日の国交と南北関係の改善を通して朝鮮半島の冷戦構造を完全に解体してこそ、北朝鮮にとっても核・ミサイル開発の必要性がなくなると見たのである。しかし、それも2001年、米国がブッシュ政権となり、ペリー・プロセスは推進力を失ってしまった。 

■「非核化」を入り口に据え、挫折このあと、ブッシュ政権の間違った対北核政策によって北の核・ミサイル問題は悪化し、朝米の敵対関係が強まった。韓国政府も冷戦構造解体へと流れをリードしていくことができなかった。

韓国の李明博―朴槿恵政権と米国のオバマ政権が重なった時期は「非核化」をまず、入り口に据える政策をとったことで、2008年から10年間、朝鮮半島の非核化をめぐる北京での6者協議も開かれなかった。 

この期間、北の核能力は速いスピードで高度化し、結果として北朝鮮は6回の核実験を重ねた。20171129日には13千キロを飛ぶICBMの発射実験にも成功した。 

ブッシュ政権以来の間違った対北政策で初期段階の小さなうちに防げたものが今、とてつもなく大きくなってしまったわけである。そんななか、今年初めからトランプ米政権はもうこれ以上放置できないと判断し、朝米の国交を開いてでも北の非核化を実現しようと打って出ているのである。 

■トランプ大統領を動かした文在寅大統領これは不幸中の幸いといえる。北朝鮮が非核化し、朝米が国交を結べば、朝日間の国交も不可避となるだろう。朝米と朝日の国交が開かれれば、朝鮮半島の冷戦構造は完全に解体されることになる。
 
ところで、今回の動きはトランプ大統領自らが進んで選んだものではなかった。文在寅大統領の役割が大きかった。文大統領は、去年7月に「ベルリン構想」を宣言した後、黙々とそれを一つずつ推進してきた。それがこうした結果に結びついたといえる。 

トランプ大統領はこの間、北朝鮮に対する圧迫と制裁を声高に叫んできた。そんな中にあって文大統領は「ベルリン構想」で提案した通りに北の平昌五輪参加を実現させた。それを機会に南北対話を復元し、南北間の特使交換とシャトル外交を通じて金正恩委員長とトランプ大統領を結びつけたのだった。 

■破格の米朝合意
米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長は612日、シンガポールのカペラホテルで会った。過去70年にわたって敵対し、核問題で4半世紀の間「悪魔」視してきた北朝鮮の首脳と、米国首脳が初めて会ったのだ。その対面は、北朝鮮の国旗と星条旗が交互に並ぶ壁の前で握手を交わすという破格のシーンから始まった。

破格さは形式だけではなかった。首脳会談の結果として出てきた「612共同声明」はその内容において、もっと驚くべきことがあった。朝米が新しい関係を樹立し、朝鮮半島の平和体制をつるくためにいっしょに努力するとし、北朝鮮は完全な非核化を約束したのである。

北の核と関連したこの間の朝米間の合意は、北がまず非核化をすれば、米国はそれに国交樹立で応じ、経済支援方式で補償してやるという構図だった。

それが、今回の共同声明は違っていた。第1項で、新しい関係の樹立、つまり朝米国交をうたい、第2項に平和体制の構築を盛り込んだ。北の非核化は第3項だった。過去25年にわたる北の核問題の解決手順とは完全に異なるパラダイムで両首脳は合意したのである。

■曲折を経つつも前進
朝米首脳会談後、767日に実現したポンペオ国務長官と金英哲党副委員長の協議は双方の当事者間で評価に多少の食い違いがあった。しかし「612共同声明」の実行を準備する実務協議をこんごも続けていくことにしたことの意味は大きい。

北朝鮮は東倉里のミサイル発射実験台も解体中であり、朝鮮戦争で行方不明になった米兵の遺骨返還も始まった。したがって今は多少の曲折を経つつ軋んではいるが、朝米首脳の共同声明は結局は実行されていくことになるだろう。

いま、米国は北に対して非核化の日程表をまず提出するよう求めている。これに対し、北は朝米国交と朝鮮半島平和づくりへの入り口といえる終戦宣言からやろうと主張している。互いに相手方が先に動くことを求め、綱引きをしているわけだ。しかしこの間の朝米交渉の先例に照らすと、このようないざこざは大きく見て交渉戦略の一環といえるだろう。

■後に引けない金正恩委員長
巷間、金正恩委員長の誠意を疑い、朝米合意実行の可能性は低いとの見方もある。しかし、こんどの朝米首脳会談の合意が実行されなければ、金正恩委員長は国内政治的に困難な局面に陥ると考えられる。

というのも、その場合、金正恩委員長が20165月の朝鮮労働党第7回大会で住民に約束した「国家経済発展5カ年戦略」は一歩も前へ進めなくなってしまうからだ。

言い換えると、金正恩委員長は住民と交わした経済発展の約束を守るためにも朝米合意を実行しなければならない。つまりは、この間苦労して開発してきた核を放棄してでも朝米の国交を実現し、それを土台に海外からの投資も誘致しようと決心したということだ。

こうした点で朝米首脳会談合意の実行は国内政治の上から、トランプ大統領よりも金正恩委員長の方がもっと切実に望んでいると見るべきだ。それが実行されるかどうかは、北朝鮮ではなく、むしろ米国の国内事情如何にかかっているといえるのである。

■新秩序へ、周辺国のうごめき
ともあれ、トランプ大統領と金正恩委員長のビッグディールで非核化と朝米国交が実現すれば、北朝鮮に対する敵対を前提としてきた朝鮮半島の冷戦構造は解体されるほかない。その場合、北東アジアの国際秩序も再編されるしかない。実際、そこへ向けての周辺国の動きはあわただしい。

金正恩委員長は朝米首脳会談を前に2度にわたって中国の習近平主席と会った。さらにその後61920日にも3度目の訪中をした。これはこんご展開される北東アジアの国際秩序再編の過程で中国がメーン・アクターになろうとしていることと無関係ではないだろう。

ロシアのプーチン大統領も金正恩委員長に9月の首脳会談を要請した。これもまた、北東アジアの国際秩序再編の過程にあって自らの持ち分を確保しようとする動きと見るべきだ。日本の安倍首相も北朝鮮との接触の機会をつくろうと心を砕いているようだ。拉致問題をインセンティブにしようとしているようだが、まだ成果は得られていない。

■変わる北東アジアの政治力学
朝鮮半島の冷戦構造解体は北東アジアの国際政治力学を大きく変えていくだろう。冷戦時代以来、最も厳しく敵対してきた朝米が国交まで開くとなると、朝日、朝中の関係も変わらざるを得ない。韓中、韓ロの関係も今とは違ったものになるだろう。そうした中でわれわれは北の核・ミサイル問題がもたらす戦争の恐怖から逃れ、平和のうちに暮らせるようになるだろう。
 
朝米が非核化と国交をビッグディールすることで原則合意した。早晩、朝鮮戦争の終戦が公式に宣言され、朝米間の不可侵協定や朝鮮半島における平和協定の締結へ向けた話し合いも始まるだろう。韓米間では、変化した北東アジアの国際秩序にマッチするよう、韓米同盟の位相と役割を調整すべきだろう。

在韓米軍は2つの帽子をかぶってきたが、まずは国連軍司令部の帽子は脱がなければならないだろう。しかし、そのような調整は在韓米軍の撤収を意味するものではない。南北間では軍備管理や軍縮の話し合いも行われることになるだろう。

■韓国社会にも大きな変化
朝鮮半島の冷戦構造解体は、韓国内の政治・社会にも大きな変化をもたらすだろう。朝鮮半島の冷戦と南北対決の構造のなかでつくられた分断体制は過去70年間、北に対する敵愾心を滋養分として巨木に成長した。朝鮮半島の冷戦構造が残っていたことでそれは可能となった。

そんなところへ、分断体制と表裏一体の関係にあった冷戦構造が完全に解体されれば、分断体制もこれ以上、維持し難くなるだろう。

冷戦構造の解体が始まれば、北への敵対を前提に構築されてきた各種社会文化秩序や法体系までも影響を受けることになるだろう。朝米がもう敵対せず、国交までを結ぶというのに、南北が敵対し続けるのは難しいのではないか。

南北間で連絡事務所を設置しあうことも可能となり、南北は一つの経済共同体として関係が深まっていくだろう。1989年以降、韓国政府が追求してきた「南北連合」段階に入れば、海外同胞社会でも「親北」か「反北」か、といった対立は無意味となるだろう。

冷戦時代、北にかこつけた公安統治が行われ、北の軍事脅威を理由に安保至上主義が国内政治を支配した。いま、冷戦構造の解体と分断体制の瓦解が進めば、冷戦と分断を前提につくり上げられた政治の論理と既得権をそのまま維持していくのは難しくなるだろう。

■逆らえない歴史の流れ
南北首脳会談と朝米首脳会談が行われたことで、北東アジアに国際秩序再編の新しい流れがすぐに始まるだろう。いまやもう、その滔々たる歴史の流れを逆流させたり、それに逆らったりすることはできないだろう。

19世紀の中盤から後半にかけて西洋の文化が東洋に押し寄せたとき、日本はその流れに乗ったために自分の運命を自分で決定でき、結果としてアジアの強者になることができたといえる。

一方で、朝鮮はそれが新しい流れであることも分からず、旧秩序にすがっていて自らの運命を自分で決められず、遅れてしまったあとで右往左往した。結果、朝鮮は日本の植民地になってしまった。

歴史に学ぶべきだと簡単に言うが、こんどこそ、われわれは過去の前轍を踏んではならない。政府はもちろん、世論指導層を含む国民皆が、南北首脳会談と朝米首脳会談がもたらす朝鮮半島の冷戦構造解体と国際秩序の再編、そして分断体制瓦解の過程で起こることへの対策をあらかじめ準備しておかなければならない。



2018年6月24日日曜日

文在寅大統領のロシア下院演説

文在寅大統領が621日~24日、ロシアを訪問。プーチン大統領との韓ロ首脳会談に臨んだほか、21日、ロシア下院で演説をおこなった。韓国の大統領としては19年ぶりのロシア国賓訪問で、韓国大統領のロシア下院での演説は初めてだった。
 
この下院演説で文大統領は、朝鮮半島を中心とした北東アジアの平和と繁栄に向けて韓ロ間の経済協力を強く訴えた。文大統領の演説で目についた部分を以下に翻訳してみた。
http://www1.president.go.kr/articles/3612           (波佐場 清)


写真はいずれも青瓦台HPから
 モスクワへの飛行機の中で私は広濶な大地が人間に与える畏敬の念というものについて考えました。それによって自然と人間をより深く理解するようになったロシアの心を思い浮かべました。

大きなユーラシア大陸に相応しい長い息遣いで、ロシアは世界史に大きな痕跡を残してきました。祖国戦争(*ロシアが1812年、ナポレオンの侵略を撃退した戦争)と大祖国戦争(*194145年、ソ連がナチスドイツと戦った戦争)で世界史の流れを変え、同時に、人類の精神史と科学技術をリードして来ました。

 

■共通する韓ロの新政策

プーチン大統領の「新東方政策」は、平和と共同繁栄の夢を載せたユーラシア時代の宣言です。西欧文明と東洋文明、それぞれの優れたところをユーラシアという巨大な溶鉱炉に入れて人類に新しいビジョンを示そうという雄大な設計図です。
 
韓国民もまた、朝鮮半島の恒久的な平和というレベルを超えて北東アジア全体の平和と共同繁栄を望んでいます。私が昨年、東方経済フォーラムで発表した「新北方政策」はプーチン大統領の「新東方政策」と呼応する韓国国民の夢です。 

私は韓国とロシアの協力が朝鮮半島の平和と北東アジア繁栄の礎石になると考え、この間、本心、努力してきました。

■ロシア国民の底力

韓国人の書斎にはドストエフスキー、トルストイ、ツルゲーネフの小説とプーシキンの詩集が並べられています。私も若いころ、慣れないロシアの地名と登場人物を手探りで追いながら人間と自然、歴史と人生の意味を自ら問うたりもしたものです。
 
20世紀初頭、韓国に紹介されたロシア近代文学は韓国現代文学の発展に大きな影響を及ぼしました。韓国にあってロシア文学はヒューマニズムの教科書でした。人間の尊厳性と霊性についての卓越した描写を通して物質文明を生きる私たちに精神的価値の重要性を刻み込みました。 

地球の外へ出た人類最初の宇宙飛行士、ユーリイ・ガガーリンも科学技術以上の悟りを私たちに授けてくれました。地球が私たちにとって、どれほどに貴く、絶対的な存在であるかを教えてくれました。 

ロシアの底力は人間に対するこのような深い理解にあると思います。それが、どんな挑戦と困難にも屈しないロシア国民の力となりました。

■韓国を助けてくれたロシア

1905年、韓国最初のロシア駐在公使だった李範晋先生はロシアの地で亡国の報せ(*日本が韓国を保護国化した第2次日韓協約のこと)を聞きました。その時、温かな救いの手を差しのべてくれたのがロシア政府でした。
 
安重根、洪範図、崔在亨、李相先生ら、数多くの韓国の独立運動闘士らが、ここロシアに亡命し、ロシア国民の助けによって力を養い、国権の回復をはかりました。 

1980年代末、韓国政府は朝鮮半島で冷戦の壁を崩すために「北方政策」を推進しました。当時のソ連政府はイデオロギーの壁を越えて88年のソウル五輪へ大規模選手団を送り込みました。両国国民の間に友情と信頼が積み重ねられ、ついに90年に国交が樹立されたのです。 


いま、韓国企業がロシアで生産した車や家電製品がロシア国民に愛用されています。ロシアは2013年、先進宇宙テクノロジーを韓国に伝え、韓国はロケット「羅老(ナロ)号」の打ち上げに成功しました。

■韓ロつなぐ「9本の橋」戦略

 
2020年はロシアと韓国が新しい隣国関係となって30年になる年です。私たち両国は意義深
い国交30周年に合わせて、ユーラシア発展のための協力をさらに強化し、交易額300億ドル、人的交流100万人を達成しようという具体的な計画を立てています。

ロシアと韓国の協力拡大プランの一つとして、極東開発で協力します。
昨年の「東方経済フォーラム」で私は、韓ロ間に「9本の橋」を架ける戦略を中心に両国の協力について提案しました。

ガス、鉄道、電力、造船、雇用、農業、水産、港湾、北極航路開拓です。この重点9分野で協力をいっそう強化していかなければなりません。



■「戦争と敵対」から「平和と協力」へ

 
いま、朝鮮半島では歴史的な大転換が起きています。私はこの4月、北朝鮮の金正恩国務委員長と会いました。私たちは板門店宣言を通して完全な非核化と共に「朝鮮半島で、もう戦争はない」と世界に約束しました。
続いて開かれた米朝首脳会談でも朝鮮半島の完全な非核化と米朝間の敵対関係終結を宣言しました。
 
北朝鮮は核実験やミサイル実験場の廃棄など、完全な非核化のための実質的な措置を進めており、韓国と米国は大規模合同軍事演習のモラトリアムなど、北朝鮮に対する軍事的圧迫をなくす措置でこれに応じています。南、北、米は戦争と敵対の暗い時間を後にし、平和と協力の時代へと進んでいます。
 

■南、北、ロの「三角協力」

朝鮮半島に平和体制が構築されれば、南北の経済協力が本格化し、そこにロシアも加わった三角協力の関係に拡大していくでしょう。
 
ロシアと南と北の三角経済協力は鉄道、ガスパイプライン、電力網の分野で、すでに共同研究などの基礎的な話し合いが進められています。
 
3国間の鉄道、エネルギー、電力協力がなされれば、北東アジア経済共同体の堅固な土台となっていくでしょう。また、南北間の強固な平和体制は北東アジアの多者間平和安保協力体制へと発展しうるでしょう。
 

■シベリア鉄道が釜山にまで延びる日

ここ、モスクワのヤロスラフスキー駅から沿海州の港町、ウラジオストクまで走るシベリア横断列車は単に一つの鉄道というだけではありません。「ロシアの労働者らの黄金の手によって建設された生命の道」であり、世界認識の地平を広げる文明の道であり、平和の道です。
 
この道は単に商品と資源が行き来するだけの道ではなく、ユーラシアのど真ん中にあって、東洋と西洋が出会う道です。まさに、ユーラシア時代を開く関門なのです。
 
いつのまにか100年間を駆け抜けてきたシベリア横断列車はいま、陸上交通の中心という役割を越えてユーラシア共同体建設のシンボルであり、その土台となってきています。
 
朝鮮半島の恒久的な平和によってシベリア横断鉄道がいま、私の育った朝鮮半島南端の釜山にまで到達することを韓国は期待しています。韓国と北朝鮮がユーラシアの新しい可能性に共同で参加し、ユーラシアの共同繁栄にいっしょになって協力していくことを願っています。
 

■ユーラシアに人類の新しい希望

ロシアと韓国の国民は両国の新しい未来を確信しています。お互いへの尊敬と信頼をさらに深めていけば、どのような難関と挑戦をも共にかき分けていけるでしょう。
 
自然と人間が共存するユーラシアに、人類の新しい希望があります。戦争の時代を超えて平和と繁栄の時代に向かってロシアと韓国はいっしょに歩いていくでしょう。

2018年6月17日日曜日

安倍首相がトランプ大統領に学ぶべきこと

安倍晋三首相が金正恩委員長との日朝首脳会談に意欲をみせている。トランプ大統領と金委員長の米朝首脳会談のあと首相は拉致被害者家族らと会い、「拉致問題は日朝の問題だから、日本が主体的に責任をもって解決していかねばならない」と語ったという。
「主体的、責任を持って」は当たり前のことで何を今さら、という思いだ。これまではそうでなかったということなのか。ただ米国にすがろうとしていただけだったのか。

 

■歴史の影

安倍首相は616日、読売テレビの番組で、北朝鮮との交渉について「相互不信という殻を破って一歩踏み出したい」と語った。「信頼関係を醸成していきたい」とも言った。そのこと自体、正しいと思う。しかし首相が本心、そう思うのなら、相手方が首相に抱く不信を自ら解いていく努力も求められる。
 
この点、首相には欠けているものがある。そもそも、このような事件がどうして起きてしまったのか、ということについても思いを致す必要があるということだ。この事件には、日本と朝鮮半島の過去の歴史を抜きにしては語れない側面がある。
 
あえて「歴史のイフ(if)」を考えてみる。もし、20世紀初頭から半ばにかけての日本による朝鮮半島支配がなかったとしたら、そしてもし、それに起因する半島の南北分断がなかったら、さらに分断対立が火を噴いた朝鮮戦争がなく、その後も休戦という名の「戦争でも平和でもない」対立状況が続いていなかったとしたら、この事件は起こり得なかったであろうということだ。
 
実際、拉致被害者の多くは朝鮮半島の厳しい南北対立下、北朝鮮の工作員による身分の「なりすまし」や、工作員を「日本人」に仕立てるための教育係として利用されていたのである。

 

■「過去清算」ない中で続発

忘れてならないのは、事件の背景となった過去の歴史に日本が深くかかわってきていたという事実である。朝鮮半島の植民地支配はもとより、分断に伴う朝鮮戦争と、その後に続く冷戦下の休戦対立にも日本が「西側陣営」の一員として深く関係してきた。

 

「過去の清算」も朝鮮半島の南半分、韓国との間では1965年の日韓条約でいったん済ませたものの、北半分、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との間では、この間まったくなされて来なかった。そんな状況のなかで1970年代から80年代にかけて北朝鮮による日本人の拉致事件が続発していったのだった。過去清算が早期になされていたら、このような悲劇も起こらなかっただろう。

 

■「不幸な過去」を語りがらない安倍首相


安倍政権はこの間、「日朝平壌宣言にのっとり、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国を実現し、『不幸な過去』を清算して国交正常化を実現すべく全力で取り組んでいく」とする原則論を掲げてきたが、安倍首相自身、このところ「不幸な過去」について語ることはほとんどなかった。

 
北朝鮮による日本人拉致は国家的犯罪行為であり、決して許されるものではないことは言うまでもない。真相を徹底究明し、生存者は救出されなければならないのは当然だ。しかし、そうだとしても、事件を生んだ歴史的背景についても見ておくべきだ。
 
加害者は忘れがちだが、被害者にとっては決して忘れられない。それは拉致問題に限らず、歴史問題についてもいえる。北朝鮮側がこの間、日本に対し、「あくどい習性を捨てない限り、1億年経っても、わが国の神聖な地を踏むことはできない」(56日付労働新聞)などと厳しい姿勢を見せてきたのも、そのことと無関係とはいえないだろう。
 
安倍首相が「相互不信の殻を破る」「信頼醸成をはかる」というのなら、拉致事件が起きた歴史的背景にももっと思いを致すべきである。

 

■「民族の悲劇」克服への模索

朝鮮半島が日本の植民地支配から解放され、それと同時に南北に分断されてから70余年が経った。そんな分断の悲劇を乗り越えようという民族内部の模索が今また、始まった。
 
この4月から5月にかけ2度にわたって開かれた南北首脳会談には南北の人々の悲願が込められていたのは間違いない。分断の歴史と無関係といえない隣国のリーダーとして安倍首相はそれにどれほどのメッセージを発したのか。
 
そんなことを思ったのは612日、シンガポールで開かれた米朝首脳会談のあと、トランプ大統領が記者会見で語った言葉の一節が強く印象に残ったからだ。次のような内容(概訳)である。

労働新聞㏋ 米朝首脳会談で握手を交わすトランプ大統領と金正恩委員長

■「南北が調和し、離散家族が再会し…」

「きょうは、険しいプロセスの始まりです。平和は常に努力するに値するものです。とくに、いまの場合がそうです。これは何年も前になされるべき問題でした。ずっと前に、です。私たちはいま、それを解決しようとしているのです。

金正恩委員長は国民のために素晴らしい未来を手に入れることができます。戦争はだれにでも引き起こせますが、平和をつくれるのは、最も勇気のある者だけです。いまのような状況がいつまでも続くことはありません。

北朝鮮の人、そして南の韓国の人も本当に素晴らしい才能に恵まれた人たちです。同じ伝統、同じ言語と文化、そして同じ運命を背負っています。彼らのすばらしい運命を実現し、そして別れた家族を再会させるために核兵器の脅威はいま、取り除かれることになるでしょう。

とはいえ、当面、制裁は続けます。
 
私たちは未来を夢見ています。南北すべての人たちが調和のうちにいっしょに暮らすことのできる未来、離散家族が再会し、希望がよみがえる未来、そして平和の光が戦争の闇を払いのける明るい未来です。
 
それが今、起こりつつあるのです。目の前にあるのです。もう少しで手の届くところまで来ています。そこに間もなく行き着くでしょう。起こりつつあるのです。実現できないとみなが思っていたかもしれませんが、いま実現しようとしているのです。本当に素晴らしい瞬間を歴史は迎えています。
 
金正恩委員長は北朝鮮に着いたらすぐに取りかかるでしょう。多くの人々を幸せに、安全にするプロセスを始めるでしょう」

Today is the beginning of the arduous process. Our eyes are wide open. Peace is always worth the effort. Especially in this case. This should have been done years ago. This should have been resolved a long time ago. We’re doing it now. Chairman Kim has the chance to seize an incredible future for his people. Anyone can make war, but only the most courageous can make peace. The current state of affairs not endure forever.

The people of North Korea, North and South, are truly wonderful and gifted people. They share the same heritage and language and culture and destiny. To realize their amazing destiny and reunite their national family, the menace of nuclear weapons will now be removed. In the meantime, the sanctions will remain in effect.

We dream of a future where all Koreans can live together in harmony and where families are reunited and hopes are reborn and where the light of peace chases away the darkness of war. This bright future is within and this is what is happening. It is right there. It is within our reach. It’s going to be there. It will happen. People thought this could never take place. It is now taking place. It is a very great day.

It’s a very great moment in the history of the world. Chairman Kim is on his way back to North Korea and I know for a fact that as soon as he arrives he will start a process that will make a lot of people very happy and very safe.


 

■「相互不信の殻」を破るために

ここには、もちろん外交辞令もあるだろう。思惑も込められているはずだ。しかし、これは北朝鮮の人たちにはもちろん、韓国の人々の琴線にも触れたはずである。こうしたメッセージは「相互不信の殻」を破る力も秘めていると思う。
 
安倍首相の口からこのような言葉が語られることはあるのだろうか。(波佐場 清)